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恋する川柳 お題「兄」

〈10/23~31到着分〉

「兄」

 

♪入選前句♪

兄が見るバージンロードに刺す光 

(神戸市/和子)

妹のバージンロードを眺めるお兄ちゃんの心情・・・きっといろんな思いが去来することでしょう。

川柳の題材としてはばっちりです。

ただ惜しい点が2つ。

 

川柳は575の17音字が基本。

特に中7は必ず守る、ということを初心のうちは厳しく言われます。

この句は「バージンロードに」と8音。惜しいです。

 

わたしだったら

 

兄が見るバージンロード光満ち

 

とするかな?

原句の「光刺す」は「射す」の誤りかもしれませんね。

和子ちゃん、目の付け所はよかったですよ!!

 

 

♪入選句♪

 

二番目の兄が捨ててる深い傷 

(大阪市/日出夫)

二番目ということは、一番目のお兄さんがいる、ということですね。

兄弟の真ん中とは、初めての子ほど大切にもされず、さりとて一番の末っ子ほどに可愛がられもせず、というけっこう損な?役どころ。

人には言えない思いもあるのかもしれませんね。

この句は「二番目の兄」が切なさを醸し出して、効いています。

 

兄の服お下がりだけど誇らしい 

(大阪市/伊藤恵子)

お兄ちゃんのお下がり。

なんだかいつもいつでもお兄ちゃんがついてくれてるみたいで、ついお転婆してしまいそうです。

兄とは頼りにされてる存在なんだな~といいうことが伝わtってくる一句。

 

溶けるほど兄が泣いてる喪の夜更け 

(草津市/弘子)

お兄ちゃんとは泣かないものだとばっかり思っていたのに・・・

妹も兄も涙に泣きぬれる喪の夜。

悲しみを分かち合えるのは家族だからこそ。

きょうだいの絆を思える句です。

 

不機嫌も兄の十八番で皆許す 

(神戸市/和子)

多分妹が不機嫌だったら許してもらえないところ。

その点、いつもぶすっと不愛想な兄の場合はみんな鳴れたもので、苦笑いでおしまい。家族のおもしろさ。

 

 

遠き昔兄のくちぐせ早よ寝えや 

(明石市/良香)

お母さんみたいに優しいお兄さん。

幼き日、添い寝してくれた兄の思い出でしょうか。

安心してお兄さんに見守られながらゆっくりとねむれる幸せも家族のぬくもり。

 

 

カブトムシ渡す兄の手誇らしげ 

(京都市/里彩)

小学性の時は、でっかいカブトムシが捕まえられたなら、たちまち英雄になれた。

だからこその「誇らしげ」な兄。

うわぁ、兄ちゃんすごい!と兄への尊敬を深める妹や弟たち。

 

鈴なりの銀杏見つけ兄想う 

(大阪市/大谷恵子)

幼い日に木を揺らして銀杏をおとしていた腕白な兄を思うのか、もしや大人になってからの炒った銀杏をアテに一杯飲んでいるときの兄を思い出すのか。

いずれにせよ、今はもう会えない兄。

 

 

人生のボディガードはいつも兄 

(神戸市/北山ほくら)

小さい時もそしていまも何につけ大きな存在がお兄ちゃん。

あらためてお礼を言うのも照れ臭いでけど、まさに人生のボディガード。

 

夢の中兄を上から覗いてる 

(大阪市/日出夫)

これまた切なさのこみあげてくる一句。

現実にはいつも上から見られていた自分。

夢のなかだから、こっそりお兄さんをのぞいてみれば見えたものとは・・・?

一読、楽しくもあり、切なくもある秀逸句です。

 

特選♪

コスモスの背丈大きな兄だった 

(草津市/弘子)

コスモスとは背丈もあり、また一斉に咲く秋の花。

「大きな兄だった」とする過去形にある寂しさ、そして想起されるコスモスの色や揺れる様は、遠い記憶の風景のように懐かしさ恋しさを彩るように感じます。

 

⁂次回は「失う」で募集します。どんどんご投句くださいね。

ありがとうございます

 

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